碧水会のリレー随想                   星野知子(H18本女・旧姓:大黒) 
 e0029   今なお大切な4年間          原稿受領日:H27(2015).12.09   
 リレー先指名 :  星野壮一(H18 土木)                            

「リレー随想」を書く機会をいただいきました。在学中も卒業後もあまりボート部の役に立てたことがない私ですが、このリレーを繋ぐのに役に立てれば…。ボートを毎日懸命に漕いでいた、あの青春の時間を思い出し思い出し、随想させていただきたいと思います。

 2002年、日本女子大学に入学した私。それがなぜ早稲田大学理工学部の、聞き慣れない漕艇部、しかも漕手として…。ボートとの最初の出会いは印象に深く、よく覚えています。とにかく気持ちよくて、楽しくて、その時間すべてに感動しました。

 何かスポーツ系のマネージャーになって、そこでスポーツ万能で素敵な人と出逢えれば言うことナシ!なんて思いながら新歓コンパに各種参加していた中に、早大理工ボート部がありました。お酒は苦くて好きではない私に、「無理に飲まなくていいよ」なんて優しい声。暴れることなく紳士的に進められる”学生注目~!”。好印象だったので後日、「ボートに乗ってみませんか」という誘いに寮の友達と参加しました。それも池袋から戸田ボートコースまで先輩がエスコートしてくれるという接待振り。「わ~、大切にされてる~」なんて気分は高揚しながらジャージに着替え、いざ大きなナックルに乗艇です。

 4月、季節は春とはいえ生まれ育った新潟はまだまだ寒い時期。けれど戸田は晴れて青空が広がり、風も暖かくて優しく、水面は太陽を反射してキラキラとまぶしい。ボートに乗り込むときの不安定さにキャーキャー騒ぎ、後ろ向きに座って前進することに感動し、オールを通して知る水の重さに驚き、何より水をこんな近くで感じたことがなかったことに気付きました。スピードとともに聞こえてくる水のカラコロカラコロという可愛らしい音にもワクワクして、たいへんに感動しました。そして、ボートを降りる頃にはすっかりボートにはまっていたのでした。

 それから気付けば大学時代は女子クォ(クォドルプル)メンバー5人とともに本気でボートを漕いでいました。たくさんの時間と気持ちを共有しました。スポーツ万能で素敵な人と出逢うよりも、もっともっと素敵で過酷で尊くて、とにかく汗と涙で、大切で貴重な時間でした。何より、同期のメンバーに出逢えた、これは本当に宝物。特に女子!楽しいことも苦しいことも一緒に過ごしてきたからこその宝物。代わりなんて存在しません。

 男子しかいなかったボート部に突然、やる気満々の女子が5人参入してきて、先輩方はさぞかし困惑したことと思いますし、ご迷惑もたくさんお掛けしたことと思います。その感謝の念は言うに及ばず、気持ちを表す言葉が見つからないくらいです。たくさんの機会を与えてもらい、たくさんの愛情を掛けてもらいました。ふと、自分はしてもらうばかりで、それを後輩達に与えることはできたのだろうか…と反省してしまいます。当時の後輩のみなさん、心の狭い先輩でごめんなさい。受け取るばかりで与えられない、まだまだ子供でした。

 現役の後輩のみなさん、毎日朝から漕いでいますか。眠くて気分が乗らない朝も「おはよう」とメンバーに声をかけていますか。エルゴを壊してやりたいなんて思っていませんか。つぶれた手のひらの水ぶくれ、漕ぎ始めが痛いよね。合宿所はきれいに使っていますか。漕手であれマネージャーであれ、ボートを漕ぐことを楽しんでいますか。ボート部にいることを楽しんでいますか。大切な大切なあなたの時間を、早大理工ボート部を通して、もっともっと素敵な時間にしてくださいね。忘れられない時間に。それは自分の心の持ち方次第。何につけても後悔のないように。応援しています。