碧水会のリレー随想                   服部 礼士(1968 土木)        
 e0025   20年ぶりのマニラ          原稿受領日:2012.05.07    
 リレー先指名 : 細野 均('68)  西山宏明('68)                                   
平成24年の1月末からひと月ほど仕事でフィリピンに行きました。実に20年ぶり、3回目の訪問でした。1回目は30年前でまだマルコス大統領が健在でした。フィリピンはスペイン、アメリカ、日本等の統治を経て独立しましたが、中でも長期間に渡り統治されたスペイン時代の影響が強く、その当時建てられた建築物がマニラ市内には数多く残されています。世界遺産に登録されているサン・アグスチン教会に隣接する修道院の中庭は歴史を感じさせる趣がありました(写真右)。   
 
今回私が滞在したのはビジネス街として発展著しいマカティ地区で、ホテルの近くにはリトル東京という日本食レストラン街や、アヤラ財閥が開発した大ショッピングセンターがありました。セブンイレブンやミニストップなどのコンビニも多く便利な所でしたが、都会慣れしていない最近の私にとっては少し息苦しく、そしてどこか落ち着かない所でもありました。
 

仕事は今回も政府開発援助(ODA)関連で、日本が従来から協力しているマニラ首都圏のインフラ整備に関する15種類のプロジェクトについて、環境面からコメントするものでした。この地域では主として整備不良の自動車に起因する排ガスのため大気汚染が著しく、特に浮遊粉塵の影響でノドが痛くなるほどでした。そのため、車から公共輸送機関へのシフトを促進するよう、軽量鉄道を拡充するプロジェクトが有望視されていました(写真左)。
 洪水が多い首都圏には、排水用としても重要な役割を果たすパッシグ川が流れています(写真右)。東京で言えば隅田川のようなものですが、生活排水が流れ込んでいるため水は汚く濁っており、とてもボートを漕ぐような川ではありません。ただ、我々が入部した昭和39年頃はこれ以上汚い隅田川で漕いでいたのですから、衛生観念も年と共に変わるものですね。