碧水会のリレー随想  初島宏明  1967年 建築学科卒
 e0010  スポーツと私   原稿受領日:2011.06.15
 リレー先指名 : 佐藤眞人(1967)、渡辺文彦(1967)

  今68歳になってこれまでを振り返り、また今後を思うと、けっして大げさではなく、スポーツは私の人生そのものでした。現在は山スキーに夢中でニセコをベースに、夏には南半球へ雪を求め、冬にはさらなるパウダースノーを探し、ヘリコプタースキーができるロッキー山脈周辺にでかけたりしています。会社時代も趣味で山登りをし、リゾート関連業務でゴルフ・テニス・ダイビング・スキーに関係し、子会社であるフィットネスクラブの経営もいたしました。ここまで出来たのは学生時代のボート部のおかげであると大変感謝いたしております。

 その理由は小学生まで虚弱児童で、病欠が多く、私としては生き続けるための身体造りが最大のミッションでした。中学から剣道、柔道を習い初めましたが、本格的には大学でのボート部において身体造りが完成し、怪我もしましたが、さらに精神力がきたえられ、先輩や同僚そして後輩の人間関係で社会性を身に着けることができました。

 高校の校是が「開拓・創作」で、自ら作り上げる精神はつちかっていたようですが、理工ボート部の草創期のための貴重な実践経験を積み重ねられたことが大いに役にたちました。今までの与えられた環境ではなく、みんなで創り出す行動として、アルバイトでボートを買う資金を調達し、合宿の食事当番で初めて料理に挑戦し、鋳物研究所でトレーニング用バーベルを自分たちで製作し、その用具を使って試合を目指して自主的に体力造りをしたことです。

 先輩のおおらかな部の運営思想と緻密な関係部門への調整と部員全体の自由ながら部のための行動への結集が、とてもすばらしいものでした。このことは社会に出て新規事業開発や不採算事業の立て直しに大変役立ちました。

 さらに重要であったことは、社会へ出てからも付き合ってくれる友の教えが大変な財産になりました。仕事の面で力をいただき感謝しています。人間一人では何の力も出せず、周りが協力し応援してくれることがその人の大きな力になることを思い知らされました。

 2年前にある癌にかかりましたが、これまでに創りあげた体力と友人の医者のおかげでほぼ完治の状態にまでなりました。スポーツ(ボート)によって、体力と経験とスクラムが組める友人を得たことは私の宝となりました。歳をとるとさらに我ままになって、相変わらず勝手で申し訳ないですが、これからも身体が動く限り、心ときめくスポーツの探求を続けるつもりです。